月をしるべに
このご時世
月の光をしるべにするのは心がひもじいときに限る。だってほら
電灯が照らしている、家屋の内も外も。
月光なくとも灯りに困ることはない。
月の光をしるべにするのは心のしるべがほしいとき。
月よ今夜もありがとう。
満月はホットケーキとして食べたい。食べることも生きることも罪とは思わない。
欠けていく月は、やしの実の形。ストローをさせば新鮮なココナツジュースを飲めるでしょう。
半月は、顔の半分を隠すお面にする。食べる口もとを隠せば、食べる行為に罪を感じる人にも不快をもよおさせぬでしょう。顔を隠せば本心を隠せるし、「私もまた食べることに罪悪感のある一人です」と、社交辞令に嘘つくことすらできるでしょう。
三日月は、ケーキを切るナイフ。まだまだまだまだ、この先も食べる。
さらに研がれて、二日月。
研ぎ澄まされて、さらに細く。やがて無に帰る。
そうして迎えた新月の夜は闇をすする。墨汁のような空を、ひと息に吸う。
月をしるべにする夜は、心のしるべがほしいとき。
「かく展」Instagramで、「サイコロ」という連想ゲームに9人で挑戦しています! ブログ投稿が3日あいてしまったので、自分の順番で制作した詩を載せてみました。
https://www.instagram.com/kaku_exhibition/
2023年11月に佐賀市内で開催した「かく展」、同じメンバーで新しい企画を準備中です。
乞うご期待!