女性がしばしば無視される世界でも、子どもたちには伝えることを伝えよう・2

子どもたちに大人気の、科学を題材にしたマンガで気になったことがある。

いくつものシリーズがあり、シリーズごとに主人公がいるのだが、「女の子の主人公は一人もいない」らしいのだ。

これは小学三年生の我が子が言っていることなので、真偽はわからない。ネットでざっと調べてみたが、「主人公、男の子ばっかりだな」という印象を受けたものの、「主人公は全員男の子である」とまでは断定できなかったから、マンガのタイトルや出版社は明かさない。

「ほぼ全巻読んだ」と豪語する、ある個人ブログで見たところ主人公は少なくとも9人はいるらしく、ブログ本文と画像で見る限りすべて男の子。

膨大なシリーズのごく一部を私も読んだが、女の子たちの活躍も目立っている。彼女らの目線で描かれるシーンもあるし、存在感の大きさから主人公同格といっていい女の子も登場する。でも、冒頭の登場人物紹介では主人公の次にしか出て来ない。これは組織のトップは男性で補佐役は女性という構図そのままだ。

「今どきそんなことに目くじらを立てるなんて、時代錯誤なんじゃないか。現実の社会では男女平等が達成されているのに」と誰かに言ってほしい。でも、世の中の男女平等じゃなさは驚くほどのレベルらしいのだ。若い世代の、意識においてさえ。

何気なくのぞいたネット記事でも「夫と久々にデートしたら夫はすぐに帰ろうと言い出す」という残念なエピソードを紹介したもので、「『夕飯の支度は大丈夫なんだろうな?』と言われた」などの仰天エピソードが出て来た。執筆者は「せっかくのデート気分が盛り下がりますよね!」と憤るだけで、問題の本質には触れてくれない。

上野千鶴子が若い女性からの質問に答える『女の子はどう生きるか 教えて上野先生!』(岩波ジュニア新書)でも、のっけから「生徒会長は男子だけ?」という仰天質問が飛び出す。女子はいつも副会長や初期で、先生に訴えても「伝統だから」で片づけられるというから先生も大したものだ。

こういう事例が、女性たちを不必要に煽るために収集された、あまりに特殊な事例、なんなら日本にたった1件だけの事例だと、誰か言ってほしい(たった1件であろうと問題であることには変わりないけど)。

それが生憎、あまり特殊な事例でなさそうなのが本当に悲しい。私自身も含めて、人間が長年刷り込まれてきた意識を変えるのは難しい。

せめて、できる範囲で子どもには伝えたい。おかしいことはおかしいと伝えたいし、男性が女性より優位だと信じるような子に、我が家の男児も女子も育ってほしくない。

 

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