佐賀・古湯温泉 泊まれる図書館 暁
佐賀市富士町の古湯温泉は佐賀を代表する温泉街のひとつ。
山間に抱かれたまちならではの自然豊かな点が魅力だけれど、
近年は地道な景観整備によって温泉街の風情が増してまたいいのです。
石畳の道とか、旅館組合でデザインを統一した看板とか。
バス停や足湯などの施設にたぶん地元産の木材をふんだんに使っていることとか。
↑足湯を楽しむ息子。
温泉だけでなくおいしくてかつ洗練された飲食店も増えたしね。
夜に営業していないところが多いのが惜しい。
でも個人経営で無理なく続けるためのスタイルならばそれでしかたないのかな。
「らしさ」を守ることの大切さってのもあるしね。
さて、古湯温泉で気になるスポットといえば「泊まれる図書館 暁」。
築110年の古民家を改装し、1日1組限定、図書館を独り占めで泊まれちゃう、
要するに予約した一軒家に入ればあとはごろ寝で本読んでていいですよという
何ともありがたいスポット。
7歳の長男はともかく、5歳の長女を連れて行くのが少々不安だけど、
幸いというか夫婦ともにそこそこ読書は好きなので、宿泊してみた。
かつて庄屋さん宅の離れだったという建物です。
↑えっまじで。はい、スタッフさんはまじで来てくださいました。
ここの蔵書は本好きの70人の本棚から好きな本20冊を寄付してもらったものであるということ。
本を寄付してくれた人ごとに棚を分けてあるけれど、当然、別の棚に同じ本があるということはざら。
ミヒャエル・エンデの『モモ』とか、村上春樹さんや川上未映子さん、絵本作家でいえば
ヨシタケシンスケさんの本などは複数の棚で同じものを発見。
それはそれでいいのです。
そうか本好きの方はこういうのを読んでおられるんだな~という
(世の中のごく一部であれ)実例を見せていただいているのだから。
本の裏表紙の裏側には、その本が寄付された方の個人内ランキング何位なのか、
そしてどんな点に魅力があるのかが熱く語られています。
なお、宿泊者には近くの英龍温泉の入浴券がもらえます。
夕食は別料金であるんだけどほっともっとでシンプルに済ます。
西加奈子さんの『きりこについて』の続きが読みたくていそいそ帰ったけど、
閑静な温泉街をぶらり歩くのもよかったろうなあ。
英龍温泉の向かいに小さな藤棚があって、水路が音を立てて流れていて、
坂を上れば何があるかななんて興味も湧いて。
外から花火を打ち上げる音がして大急ぎで出て行った子どもたち。
後からついていくと、「山向こうだ」とのこと。
そういえば唐津で九州花火大会があってるんだった。
あとは、すごく静か。
朝食(別料金)はいただきました。
建物内の厨房で用意していただけます。
素朴だけれどプロの味。
具だくさん味噌汁がしみじみおいしい。
具だくさん味噌汁って家でも作るけど、こう滋味深く、かつ洗練された仕上がりにはならないものなのよ。
チェックアウトは11時なのでゆったり。
次来るときは、夜と朝、各30分間ぬり絵につき合ってあげねばならず、
各1時間メルちゃん動画を見せなければならなかった長女が
1人で本を読めるまで成長していることを望む。